ボイタ法とは
この治療法は小児神経学者のボイタ教授が、脳性麻痺センターで実際に治療を行う中で見いだされ、10年以上の歳月のなか体系化した治療法です。
治療の実際は反射性寝返り運動(仰向け・横向け)と反射性腹這い運動(うつ向け)の3つの決められた姿勢を取り、治療者が誘発帯という決められた部位を刺激することで協調した筋活動(運動)を引き出します。
治療の仕方を家族の方に覚えて頂き1日4回、1回は15分位行うことで協調した運動を学習していきます。
1人1人の状況で回数や時間は異なりますが、乳幼児期の発達が大きい時期はできるだけ決められた4回行う方がよいでしょう。
大きくなったら2次障害の予防や、生活の基盤となる体調を整えたり、姿勢の安定や動きやすさのためにも行います。
自主訓練としてご本人が出発姿勢をとることも良いです。
何をしているの?
ボイタ法は発達運動学的アプローチともいわれます。
生まれたばかりの赤ちゃんの体はぐにゃぐにゃで、姿勢を保ったり姿勢を変えることができません。
1年から1年半の間に、寝返り、座って、這い這いし、立ち上がって、歩けるようになります。
私たちの動作や姿勢は生まれて1年で獲得するこの機能を土台に成り立っています。
運動発達を「○ヶ月で首が座る」「○ヶ月で這い這いが出来る」といった量で見るのではなく(マイルストーンと言います)、一つ一つの運動機能を獲得し次の機能につながるためには、どういった筋肉の働きが必要なのかという運動の質を細かく観察し、発達を踏まえたうえで運動学的に分析することを発達運動学と言います。
ボイタの治療では、正常運動発達に見られる筋活動と類似した反応を、本人の意思や目的と関係なく反射性に引き出そうとするものです。
だから赤ちゃんから大人まで適応できるのです。
訓練以外の時間は意欲的に遊んだり、生活することもとても大切です。
それは訓練で学習した筋肉の働き方や運動を、実際に繰り返し使うことで身に着くからです。